伯拉多の「長恨歌・・・120句・840字」(7)
2017/3/11/土曜日
「長恨歌の再三考とヘンサン」 ↓↑ 編纂・・・纂(サン)=竹+目+大+糸・・・編集・偏執・編修 簒奪・・・簒(サン)=竹+目+大+ノ+ム・・奪う・強奪 横取りする 簒奪・簒立 算数・・・算(サン)=竹+目+廾・・・算木 祘の略形・十本の算木 廾(両手) 竹(算木)+具 唐宋音は「ソン」 計算・成算・算術 算=サン=祘 蒜(ひる・サン) 会稽=カイケイ=会計 ・・・緯度33度の会稽山、阿蘇山 横島・横島・横島・横島・横島・横島・横島 邪=よこしま=邪揣摩=よこしま=與拠志摩 與(与)姑(女古)示枉 壹與・臺與=位置與(与)・位地輿(御輿・神輿)
「簒(サン)」=計略で奪い取る 相手のものを奪う 簒=ノ+ム =ム(私・己・よこしま) 君主の地位を奪う=簒奪(サンダツ) 類字は「篹・篁・籑・簑・篾・簔・簍・籝・籃・簺・簣・籣・鸎」 ーーーーー ↓↑ 長恨歌 漢皇重色思傾國 御宇多年求不得・・・後宇多天皇 文永四年十二月一日 (1267年12月17日) ~ 元亨四年六月二十五日 (1324年7月16日) 鎌倉時代、第91代天皇 亀山天皇の第二皇 文永五年(1268年) 生後八ケ月で立太子 八歳で践祚 在位、文永十一年一月二十六日 (1274年3月 6日) ~ 弘安十年十月二十一日 (1287年11月27日) 諱は世仁(よひと) 1268年(文永五年)一月 ~ 1281年(弘安四年)閏七月一日 「文永・弘安の役」の元寇 北条時宗・蘭渓道隆 無学祖元の「莫煩悩」・・・ 杜世忠(元の使者) 周福(元の使者) 范文虎(元の使者) 文保二年(1318年) 第二皇子の尊治親王(後醍醐天皇) 即位し、再院政を開始 元亨元年(1321年) 院政を停止、隠居 後醍醐の親政が始まる・・・ ーー↓↑ーー 長恨歌 ーー↓↑ーー 漢皇重色思傾國 御宇多年求不得 ↓↑ ↓↑ 漢の皇帝は 色を重ね=重んじ(重色)、 美女(傾國)を 得たいと望ん(思)でいた。 治世(御宇多年)の年に求めても 得ることができなかった(不得) ーー↓↑ーー 楊家有女初長成 養在深閨人未識 ↓↑ ↓↑ 楊家の娘は成長し、 深窓(深閨)で在って養育され、 人々は未だ知るところではなかった(人未識) ーー↓↑ーー 天生麗質難自棄 一朝選在君王側 ↓↑ ↓↑ 天性の麗しさ(麗質)は 自と捨て難く、 ある日(一朝)、君王の側に選ばれた ーー↓↑ーー 回眸一笑百媚生 六宮粉黛無顏色 ↓↑ ↓↑ ヒトミを回し(回眸) 微笑めば(一笑)、 溢れんばかりの艶(あで)やで、 なまめかしさ(百媚生)をみせ 後宮女官(六宮)の化粧(粉黛)も 顔色無し ーー↓↑ーー 春寒賜浴華清池 温泉水滑洗凝脂 ↓↑ ↓↑ 春の寒い時期、浴華清池を賜り 温泉の水は、 凝った脂(凝脂)を洗い滑り流す ーー↓↑ーー 侍兒扶起嬌無力 始是新承恩澤時 ↓↑ ↓↑ 侍る子女(侍兒)が 助け起こす(扶起)も あでやか(嬌)、なよやかで力なし。 新しくうけたまわった(新承) めぐみ(恩澤)の時とは、 これが始め(始是) ーー↓↑ーー 雲鬢花顏金歩搖 芙蓉帳暖度春宵 ↓↑ ↓↑ 雲のような鬢 (美人の形容・耳ぎわの髪)、 花のような顔、 歩みで揺れる髪飾り(金歩搖) 金・・・鈿? 鈿 (かんざし・簪・笄・釵 兂=旡=サン・篸・髪挿し・櫛) 芙蓉(フヨウ)の帳(とばり)は暖かく、 春の宵を度す 度(たび・はかる・わたる・のり・ド・ト・タク 越える・過ごす・度数) 度=广+廿+又 =广+炗=庶=广+廿+灬・・・? 庶民→广(亠+ノ)の「炗=廿(弐拾)+火」 庶=「煮る、屋内を燻(いぶ)して 害虫を除去する」? ーー↓↑ーー 春宵苦短日高起 從此君王不早朝 ↓↑ ↓↑ 春の宵は短く苦しく、 日高くに起きる これにより(從此)君王は 朝、早く起きれず 早朝の政(まつり)ごとせず ーー↓↑ーー 承歡侍宴無閒暇 春從春遊夜專夜 ↓↑ ↓↑ 歓(よろこ)びを承(たまわ)ること 宴に侍って 休む閒暇(ひま)もない。 春は春の遊びに従い、 夜は夜に専ら 春 從 春 遊 夜專 夜 シュンジュウシュンユウヤセンヤ 種 武重(拾・聚・集) 守 務有 野撰哉 在野・非公式 ーー↓↑ーー 後宮佳麗三千人 三千寵愛在一身 ↓↑ ↓↑ 後宮に美女(佳麗)三千人、 三千人分の寵愛、 一身に在(あ)り ↓↑ 考究加齢(化例) 簒撰人(訊・壬・盡) 纂撰人(尋・仁・尽) ーー↓↑ーー 金屋妝成嬌侍夜 玉樓宴罷醉和春 ↓↑ ↓↑ 金の屋敷で 化粧(妝)を艶めかしく 「妝=爿+女」=装う・飾る・化粧する 姿・振りをする 「爿」=片の反文 版築のとき、左右にあてて 中の土を衝き固める板 卜文に疾の字は多く爿に従い、 牀几(シヨウキ)の 形 長い板をしいた寝台の縦した字 爿=丬=寝台、長椅子(牀) 几(机)・臥病在牀 木や竹などを 二つに裂いた左の片方 右は「片」 田畑や商店、 工場などの数を表す語(数詞) 愛嬌を凝らし(成嬌)、・・愛嬌 夜に侍べ 玉楼での宴にまかり(罷) 罷=まかる・はべる 命によって行動する やめる・中止・果てた後 春の和(なご)みに酔う。 ーー↓↑ーー 姊妹弟兄皆列土 可憐光彩生門戸・・・キリストの誕生の光星? ↓↑ ↓↑ 彼女の縁戚(姊妹弟兄皆)は みな領地(皆列土)を賜り、 栄光(光彩)が一族(生門戸)に あわれむ(憐)=(可憐=カレン) ーー↓↑ーー 遂令天下父母心 不重生男重生女 ↓↑ ↓↑ 遂には世間(天下)の親たち(父母)の心も、 男児の誕生より ・・・不重生男(おとこ・おのこ) 音 拠・小野子 「漢(おとこ)=乾いた河 =漢河=天の川」 女児の誕生を喜ぶ・・重生女(おんな・おうな) ようになった 音 名・姶 名 ーー↓↑ーー 驪宮高處入青雲 仙樂風飄處處聞 ↓↑ ↓↑ 驪山の離宮は高所にあって 雲(青雲)に隠れるほど(處入)で 仙人の音楽が風に乗って(風飄) あちこち(處處)から聞こえる ーー↓↑ーー 緩歌慢舞凝絲竹 盡日君王看不足 ↓↑ ↓↑ のびやかな歌(緩歌)や踊り(慢舞)、 笛や琴(絲竹)を凝らし(凝) 凝縮・集中 こらし=工夫し 君王は日を尽くし 見飽きること(看不足)がなかった。 ↓↑ 看=対象をよく見る・看過・看取・看破・参看 見守る・見張り・看護・看守・看病 読む・看経 (カンキン) あきら・み・みつ 「看做 (みな) す」 工夫(くふう・方法・手段・やり方)を 凝らす(cogitate・contrive・devise・plan) ーー↓↑ーー 漁陽鼙鼓動地來 驚破霓裳羽衣曲 ↓↑ ↓↑ 漁陽の陣太鼓(鼙鼓)が 鼙=古代軍隊中作戰時使用的 戰鼓・太鼓・陣太鼓 つづみ・打楽器の一・たいこ 鼓笛・羯鼓 (カッコ) 軍鼓・鐘鼓・太鼓 たたく 鼓吹・鼓動・鼓腹・鼓膜 奮い立たせる・励ます 鼓舞 地を揺るがし(動地來) 虹のようなもすそ(霓裳) 天女の(羽衣)曲は 驚きとなった(驚破・キョウハ) 虹霓(コウゲイ)=「雄虹」と「雌霓」 虹(にじ)=蜺=虫+兒・・・暴風雨の 龍巻が治まった龍 レインボー(rainbow)=7色の虹 red,orange,yellow,green, blue,indigo,violet bow(bau)お辞儀・服従 bow(bou)弓 bow(bou)船の舳先(へさき) 霓虹灯=ネオンサイン・neon ーー↓↑ーー 九重城闕煙塵生 千乘萬騎西南行 ↓↑ ↓↑ 王宮(九重城)の門(闕=欠)は開かれ 煙と塵を立ち昇らせ 車や騎兵の大軍(千乘)は 西南を目指した ーー↓↑ーー
翠華搖搖行復止 西出都門百餘里 ↓↑ ↓↑ 翡翠(ヒスイ)のような 青緑色(翠華)の 王旗(翠華)は ゆらゆら(搖搖)と進んでは、 復止まり、 都の門から西に出ること百餘里 ↓↑ カワセミ=翡翠・翡翆 魚狗・魚虎・魚師 水狗 川蝉・鴗=ソニドリ(翠鳥) ソニ(青土) ブッポウソウ(仏法僧)目 カワセミ(川蝉)科 カワセミ属に分類される鳥 水辺に生息する小鳥 水色の体色と長い嘴が特徴 ヒスイ・青い宝石とも呼ばれる 翡翠=天子の旗が カワセミ(翡翠)の羽(色?)で 飾ってあったので 「天子、帝王、天皇」の旗 錦(にしき)の御旗(みはた) 兒詞記 の 看葉他 ーー↓↑ーー 六軍不發無奈何 宛轉(婉轉?)娥眉馬前死 ↓↑ ↓↑ 軍(六軍) 如何ともしがたく(不發無奈何)、 娥の眉(娥眉)とされ 穏やかな(宛轉) 美女(楊貴妃)は 馬前で死した ーー↓↑ーー 花鈿委地無人收 翠翹金雀玉搔頭 ↓↑ ↓↑ 花のかんざし(鈿)は 地に落ちたが 拾い上げるものもなく、 かわせみ(翠翹)や、 すずめ(金雀)の の鶏冠(玉)が、 頭から切り取られる(掻)も同様 「掻く=手+蚤(のみ・叉虫→中+ム) 蚤=はやい・つとに・ソウ ソウ(早) 蚤起(ソウキ) 早起き 「蚤寝晏起(ソウシンアンキ 早く寝ておそく起きる)」 掻(か)きとる 書き取る・牡蠣獲る・柿採る・下記とる ↓↑ 搔頭=頭を掻く=恥じたり 照れたりした時の 仕草(しぐさ)=仕種 肥前の蟲を「搔き取る・掻き毟る」 We scratch ourselves when we itch. scratch an itch(itchy place) scratch one's head(頭を掻く) 痒い・ I can't help it! It itches. have an itching palm わいろを欲しがる 手のひらがむずがゆい=お金が欲しい itching=かゆい・むずがゆい 「背中を搔く・寝首を搔く 落ち葉を搔く 汗を搔く 鼾(いびき)を搔く 琴を掻きならす」 ーー↓↑ーー 君王掩面救不得 回看血涙相和流 ↓↑ ↓↑ 王(君王)は顔を覆(掩)い 助けることもできず(救不得)、 めくばすも(回看) ・・・回看=見返す =相手に見られ、自分も見返す 血の涙、相、和して流す ーー↓↑ーー 黄埃散漫風蕭索 雲棧縈紆登劍閣 ↓↑ ↓↑ 黄砂の塵が舞い(散漫)、 風がもの寂しく吹きすさぶ(蕭索) 雲は 曲がり、めぐる(縈紆)かかり(棧) 剣閣へと登る 剣閣=四川省の漢中から 蜀の成都への途上に位置する要衝の地 天険の要害に守られた急峻な山岳地帯に位置 中国最大級の湖 瀘沽湖を擁し、蝦(海老・鰕)の一大産地 ーー↓↑ーー 峨嵋山下少人行 旌旗無光日色薄 ↓↑ ↓↑ 峨嵋山のふもと(下)には 道行く人も少ない(少人行) 天子の御旗(旌旗)、光なく、日の光も薄し ーー↓↑ーー 蜀江水碧蜀山青 聖主朝朝暮暮情 ↓↑ ↓↑ 蜀江の水は深緑(碧)で、 蜀山は青々とし 王(聖主)は朝は朝、暮は暮に 恋い(情)暮らす ーー↓↑ーー 行宮見月傷心色 夜雨聞鈴腸斷聲 ↓↑ ↓↑ 仮御所(行宮)の月を見れば 心が痛み(傷心色) 夜の雨は、 鈴の音に聞こえるも 苦痛に叫ぶ(断腸)の声のよう ↓↑ 腸(はらわた)を断つ声 断腸の聲=無念の唸(呻・うなリ) うめき、苦吟、叫び ーー↓↑ーー 天旋日轉迴龍馭 到此躊躇不能去 ↓↑ ↓↑ 世情が変わって 天の日旋、 御車(龍馭)の方向を転じ(轉迴)るが そうであっても(到此)、 躊躇、去ることができず ーー↓↑ーー 馬嵬坡下泥土中 不見玉顏空死處 ↓↑ ↓↑ 馬嵬の斜面(坡下)、泥土の中、 もはや 楊貴妃(玉顔)は見ることができず、 死した處は、むなしさ(空)ばかり ↓↑ 空しく死せる處には、楊貴妃は居ない ーー↓↑ーー 君臣相顧盡霑衣 東望都門信馬歸 ↓↑ ↓↑ 君臣は相互いに かえり見、 雨に濡らした衣のまま・・・霑=うるおう・うるおす 東に都門を望み、馬に任(信)せて帰る ↓↑ 東の方に都の門を望み 馬に信(まか)せて歸る ↓↑ 東望都門信馬歸 問う訳文を望む、司馬遷に記するを信じ? ーー↓↑ーー 歸來池苑皆依舊 太液芙蓉未央柳 ↓↑ ↓↑ 帰りきてみれば 池も庭もみな元のまま(皆依舊)、 水みずしい(太液)の芙蓉 太安万侶の エキ(液・役) ヤク(訳・役) ワキ(腋・和記) 「芙容樹=合歓木」 「水芙蓉・出水芙蓉=睡蓮=蓮(はす)」 美女の形容・富士山・水蓮 「木芙蓉=芙容」 「合歓(ねむ)の木」の異名、 馬纓花・絨花樹 合昏・夜合・鳥絨などの異名 ねぶたぎ(眠た木) 害虫駆除、打撲、鎮痛、 不眠症の生薬、家畜の飼料 フヨウ=不用・不要・扶養・浮揚・不溶 ↓↑ 睡蓮 と 柳 ↓↑ 未央柳 未だ央ならず(未央)の柳(リュウ) ・・・華奢で繊細な柳腰? ・・・三王(見黄)の龍・劉・笠・留 ーー↓↑ーー 芙蓉如面柳如眉 對此如何不涙垂 ↓↑ ↓↑ 芙蓉の花は彼女の顔のよう、 柳は彼女の眉のよう、 これを見て(對此)、 此=止+匕 これ・この・ここに かくのごとし・シ どうして(如何) 涙を流さず(不涙垂)におられよう ーー↓↑ーー 春風桃李花開夜 秋雨梧桐葉落時 ↓↑ ↓↑ 春風に桃李の花は夜開き、 秋雨に桐の葉(梧桐葉)が落ちる時 ーー↓↑ーー 西宮南苑多秋草 宮葉滿階紅不掃 ↓↑ ↓↑ 西の宮殿、南庭に秋草が繁り(多)、 宮殿の葉、 階(きざはし)に満ち・・・・多層に 赤(紅)は 掃き清められず ↓↑ 宮の葉は階に満ち、 紅(べに)も不掃 紅(くれない)も掃(はら)わず ーー↓↑ーー 梨園弟子白髮新 椒房阿監青娥老 ↓↑ ↓↑ 梨園の弟子も白髪となり 椒房の女官(阿監)であった 若き人(青娥)も老婆なった ↓↑ 青娥=月に住む天女 「嫦娥」=美女=后羿の妻・姮娥(コウガ) ↓↑ 嫦=姮・前漢の文帝の名が「恒」であるため、 字形のよく似た「姮」を避諱して「嫦」を用いた 嫦娥=蝦蟇(ガマ) 蟾蜍・蟇蛙・「ひきがえる」 娥=宮中の女官・娥眉(蛾眉) 嫦娥(月娘)に水を張った器に「針」を浮かべ 吉凶を占う月の女神(天女) 「太陰星君 月宮黄華素曜元精聖後太陰元君 月宮太陰皇君孝道明王」 ーー↓↑ーー 夕殿螢飛思悄然 孤燈挑盡未成眠 ↓↑ ↓↑ 夕方の宮殿に蛍が飛ぶ 悄然として思い さびしく(孤)灯火 挑(かか?)げて(燈挑) 盡(つくす)も未だ眠れず ↓↑ 孤の明り(燈)の 尽ききるママにしたが 未だ眠れず ↓↑ 独り、ともり(燈)の 挑(いどむ・挑発)、 盡(まま) いまだ眠れず ーー↓↑ーー 遲遲鐘鼓初長夜 耿耿星河欲曙天 ↓↑ ↓↑ 時を告げる鐘鼓は遅々として 初めの長い夜を知らせ ひかり輝く(耿耿) 銀河(星河)だが 天は明け(曙)んとす ーー↓↑ーー 鴛鴦瓦冷霜華重 翡翠衾寒誰與共 ↓↑ ↓↑ おしどり(鴛鴦)の かわら(瓦・巣)は冷え 霜の華は重なり 雪の結晶のような霜華(しもばな・ソウカ) ↓↑ かわせみ(川蝉・翡翠)の (羽毛・刺繍)の 夜具(衾)は寒く(衾寒) ダレが共に寝ると云うのか ↓↑ 枕冷衾寒 一人で寝ることの寂しさ 「衾=掛け布団」 ふすま(衾)→臥間・襖 「襖」=ふすま・あお・オウ 綿入(わたいれ) 唐紙(からかみ) 上着(うわぎ) あお・昔の衣服・素襖 あおり物=はおり物 どてら(褞袍・ウンポウ) 綿を厚く入れた広袖の着物 防寒・寝具用 防寒のために上から 羽織(はおる)上着・・・羽織る→あおる 主に男子が用いる 丹前(たんぜん) 「枕も掛け布団も冷たく寒い」 ーー↓↑ーー 悠悠生死別經年 魂魄不曾來入夢 ↓↑ ↓↑ ゆったりと(悠悠) 生死を分けて幾年月、 彼女のタマシイ(魂魄)が 夢に現れ(入夢)、 あいにきてくれることもなし(不曾來入) ーー↓↑ーー 臨邛道士鴻都客 能以精誠致魂魄 ↓↑ ↓↑ 臨邛の道士が都に来て(鴻都客) よく(能)、精誠を込めて(以・もって) タマシイ(魂魄)を 招く(致)ことができるらしい、と ーー↓↑ーー 為感君王輾轉思 遂敎方士殷勤覓 ↓↑ ↓↑ 君王、感を為し、思いは重なり(輾轉) 方士の教えを遂げ、 念入り(殷勤)に捜し求(覓)めしむ 殷勤=丁寧(丁重) ーー↓↑ーー 排空馭氣奔如電 升天入地求之徧 ↓↑ ↓↑ 空に排し、 気を操(あやつ・馭)り 雷電のごとく奔走し、 天に昇り、地に入って これ(之)を、 くまなく(徧)捜し(求)める ↓↑ 排=排水・排撃・排外・排出=外に押し出す 徧=あまねく・あまねし・ヘン・ベン 満遍に・広く漏れなく行き渡る・遍・偏りがない 「α+扁」 扁=薄くて平たい・小さい 戸(一尸)+冊(ふみ・サク・サツ) 一の屍の冊(書籍の数詞、一冊) 扁額・扁形・扁平・側扁 扁舟 類字は「偏(かたよる)=偏狭・偏狂・偏執 㴜(ならす)=水平 蹁(あるく)=姿勢歪斜・旋舞的樣子・偏平足? 蹁躚 遍(あまねく・くまなく)=遍在・遍満・遍歴 遍路・普遍・満遍 編(あむ)=編集」 ーー↓↑ーー 上窮碧落下黄泉 兩處茫茫皆不見 ↓↑ ↓↑ 上は空の窮み(窮碧)まで 下は黄泉まで探したが、 どちら(兩處)も 茫々として、 皆、 見つけることできず ーー↓↑ーー 忽聞海上有仙山 山在虚無縹緲閒 ↓↑ ↓↑ そのうち海上に仙人の山があると聞き及ぶ 山はぽつん(縹緲閒)と在った ーー↓↑ーー 樓閣玲瓏五雲起 其中綽約多仙子 ↓↑ ↓↑ 楼閣は玲瓏として 麗しく五色の雲が起こって その中にたおやかな(綽約) 芍薬、牡丹、百合 仙女がたくさんいた ーー↓↑ーー↓↑ 中有一人字太眞 雪膚花貌參差是 ↓↑ ↓↑ その中の一人、 名(字)は 太真と云う者あり・・・・太安萬侶・太乙・太歳 雪のような肌(雪膚)、 花のような容貌(花貌)、 是は (楊貴妃)に なんとなく(參差)似ていた ↓↑ 參差=シンシ 長短の等しくない・揃わない・不揃い 入りまじる・だいたい、そっくり 大体似たような感じ ーー↓↑ーー 金闕西廂叩玉扃 轉敎小玉報雙成 ↓↑ ↓↑ 金の御殿の西の館(廂)の 宝玉の扉を叩いて訪れ 小玉や双成に報じ、 取次(轉敎)を頼んだ ↓↑ 扃=(外から門を閉める) かんぬき. ーー↓↑ーー 聞道漢家天子使 九華帳裏夢魂驚 ↓↑ ↓↑ 漢の天子の使いと聞き、 幾重もの美しいとばりの中で(九華帳裏) 夢見ていた魂が驚き(夢魂驚) ーー↓↑ーー 攬衣推枕起裴回 珠箔銀屏邐迤開 ↓↑ ↓↑ 衣装をまとい(攬衣) 枕を押し(推)やって起き上がり、 徘徊 玉の簾や銀の屏風(珠箔銀屏)が 次々(邐・つらなる・つづいて)に開かれた 邐迤(リイ)=曲折連綿・連なる ↓↑ 裴=衣服の長いさま・裴裴・ぶらぶら歩く 裴回=たちもとおる ーー↓↑ーー 雲鬢(髻?)半偏新睡覺 花冠不整下堂來 ↓↑ ↓↑ 雲のような髪は少し乱れ 目覚めたばかり(新)の様子 花の冠も整えないまま 堂に降りてきた ーー↓↑ーー 風吹仙袂飄颻(飄?)舉 猶似霓裳羽衣舞 ↓↑ ↓↑ 風が吹いて仙女の袂は ひらひら(飄颻)と舞い上がり、 なお(猶) 霓裳羽衣の舞を舞っているようだ ーー↓↑ーー 玉容寂寞涙闌干(欄干?) 梨花一枝春帶雨 ↓↑ ↓↑ 玉のような美しい顔は寂しげで、 涙がポロポロ(欄干)と 連なる如くこぼれ ↓↑ 闌干(欄干)=連なる・整列する ↓↑ 梨の花が一枝、春の雨に帯びる ーー↓↑ーー 含情凝睇謝君王 一別音容兩渺茫 ↓↑ ↓↑ 情を含め眼差し(凝睇)で、 君王に謝辞し あの別れ(一別)以来、 声(音)も 姿(容)も 共(両)に 遠くはるかなもの(渺茫)となりました ↓↑ 渺茫=漠然、ぼんやり、かすむ(霞む・翳む) 翳=かげる・かげ・かざす・かかげる・さえぎる ーー↓↑ーー 昭陽殿裏恩愛絕 蓬萊宮中日月長 ↓↑ ↓↑ 昭陽殿裏での恩愛も絶え、 蓬莱宮の中で過ごした 時間(日月)も長くなりました ーー↓↑ーー 回頭下望人寰處 不見長安見塵霧 ↓↑ ↓↑ 頭を廻し 人間(人寰)世界を見下ろしても、 長安は見えず、 霧や塵が視えるばかり ーー↓↑ーー 唯將舊物表深情 鈿合金釵寄將去 ↓↑ ↓↑ 今は ただ将に思い出の品(舊物) 深情を表しています 螺の鈿(かんざし)と・・・鈿合(デンゴウ) 金の釵(かんざし)を・・・金釵(キンサイ) 形見にお持ちください(寄將去) ↓↑ 寄せ將(もち)=(形見)去らしめん ーー↓↑ーー 釵留一股合一扇 釵擘黄金合分鈿 ↓↑ ↓↑ 三俣のかんざし(釵)の脚の片方と 一扇を合わせ留めましょう 三俣のかんざし(釵)の黄金を裂き(擘) 分けた螺鈿も合わせましょう ーー↓↑ーー 但敎心似金鈿堅 天上人閒會相見 ↓↑ ↓↑ 教えのまま 金や螺鈿のように 心を堅く持っていれば(心似)、 天上と人間界とに (別れた私たちも) あいまみえる(會相見)ことでしょう ーー↓↑ーー 臨別殷勤重寄詞 詞中有誓兩心知 ↓↑ ↓↑ 別れにのぞみ(臨)、 丁寧(殷勤)に言葉を重ね寄せた 言葉の中に、二人だけが知る 誓いの言葉があった ーー↓↑ーー 七月七日長生殿 夜半無人私語時 ↓↑ ↓↑ 七月七日の長生殿、 誰もいない 真夜中(夜半)の 私の言葉の時だった ーー↓↑ーー 在天願作比翼鳥 在地願爲連理枝 ↓↑ ↓↑ 天にあっては 願わくは(願作) 比翼の鳥となり、 地にあっては 願わくは(願爲) 連理の枝となりましょう ーー↓↑ーー 天長地久有時盡、此恨綿綿無盡期 ↓↑ ↓↑ 天長、地久、時は尽きることもある この恨みは綿々と続いて尽きる時はなし・・・ ーー↓↑ーー ・・・天在、願作(贋作)、比翼(肥沃・簸良く)とり・・・ 箕 (み) で穀物をあおって、くずを除き去る 箕で篩(あお)って塵(ちり)や屑(くず)を取り除く ・・・地在、願爲(含意)、連理(練理)の詞(史・示・施)・・・